◇◆◇8月の競作◇◆

感想は掲 示板にどうぞ。






こしのゆみこ
母方の睫は長き麒麟草
夏痩せの星になりたる地球かな



近恵

誰よりも小さな声のつゆきのこ
平熱の保たれている黒出目金



齋藤朝比古
洗はれて干されてゐたる帰省かな
草市におとなしきもの並びけり



しまいちろう
蟻地獄等間隔の孤独かな
コロナ禍の一人は気楽ところ天



中内火星
群青にしっぽり濡れる夜の虹
ソーダ水楽して心の鍛錬



矢羽野智津子
梅雨の庭いつもの父のつつかけで
不具合のごとく腹巻よじれをり



吉田悦花
万緑のなか眼底を覗かるる
持ち歩く消毒スプレー夏野かな 



吉野秀彦
紫陽花や新築現場に灯がともる 
方言を持たぬ淋しさ花ざくろ



上野葉月
鬼老ひてひとりの膝の月涼し 
夏風邪や千にひとりは死ぬと云ふ



岡田由季
短夜の京も富岳も熱を吐く
東京の土産に小さき虹もらふ




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