齋藤朝比古
ワクチンは打たぬと決めて夜濯ぎす
普段着のすこし余所行きめく帰省
しまいちろう
差し脚の猫の彫刻登山宿
バラードのようなスキップ晩夏光
高橋洋子
二百十日しろい島めく紙石鹸
犬が吠えそれから人類は水泳
中内火星
熱帯魚マニラでピンクのフルーツ
熱帯夜消し忘れの蛍光灯
矢羽野智津子
心配性茄子の煮びたし冷ましゐる
空箱に残る天地の涼しさよ
吉田悦花
夏空や目高六匹ゐる暮らし
電子レンジの中の閃光夏の果
吉野秀彦
咲くまではムガルの王冠花芙蓉
仙人掌の妖しきひねり大西日
上野葉月
梅雨の月沼のほとりに陸蒸気
幽霊に蹴られてもなおズッキーニ
岡田由季
葭切や午後より変な風の出て
普及型ヒトとして見る揚花火
こしのゆみこ
この地球励ますついで髪洗う
敗戦日全員のいて青い空
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