楠本 奇蹄
魔法瓶鳴らして十二月来たる
なかよしの脱臼したる冬日向
こしのゆみこ
疲れたる空のはしより雪降れり
白長須鯨の声の星まみれ
近恵
方法のひとつは熊と眠ること
不採用です白鳥が近すぎる
しまいちろう
掃除機の吸引口にかまいたち
立冬や郵便局のペンかすれ
高橋洋子
狐火のまんま理髪師にもなれる
白鳥のやうなもの窓ぎはの永遠
中内火星
十二月青天の月見る余裕
抽斗にたたんでしまう十二月
矢羽野智津子
桐箱に納め新米均したり
冬の夜のマウスの裏の青びかり
吉田悦花
冬うらら梅のかたちのそばぼうろ
ささやかな土偶の乳房寒夕焼
吉野秀彦
嬉々として冬黄銀杏の舞う宇宙
ずるいよ知らない街の寒夜のYour Song
上野葉月
熊穴に入る机上には書類
冬木立鬼ごつこの如かくれんぼ
岡田由季
山羊一頭をれば牧場秋うらら
会はぬまま老いゆく我ら菱紅葉
●
トップページに戻る●
