齋藤朝比古
風花へ掌といふ熱きもの
一陽来復職人の早仕舞
しまいちろう
寒晴や退院してもある病院
壁のしみ冬の蝶なのかもしれない
高橋洋子
ふくろふがゲームの規則告げにくる
公園にみみづくばかり来てゐたり
中内火星
ストーブまであと五センチの攻防
何はさて置いたところにストーブ
矢羽野智津子
雪の夜のネイルの黒き男かな
家々の音を閉ぢ込め窓寒し
吉田悦花
ゆく年のノンアルコールビールかな
あたらしいお札の貌や雪催
吉野秀彦
初春やほど良き梅の力瘤
煌々と甍のあわい初日の出
上野葉月
湖面凍てて神獣たてがみを映し
助手席のバックミラーに冬の蝶
岡田由季
笹鳴や自宅いつしか編集部
世の中を半身逸れて冬木立
楠本 奇蹄
若水を放てば時計揃ひたる
五万米噛む不意に幕間のさみしさ
こしのゆみこ
うまれたての額とまみえる淑気かな
白鳥を数える少年と数える
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