高橋洋子
すべり台にゐて凍鶴をそらみみ
きだちるりそう鉛筆の引く水平線
中内火星
肉体の風景白梅のほろと
紅梅や朝からずっと吠えている
矢羽野智津子
セーターに娘と母の網目かな
弾初や椅子の高さを整えて
吉田悦花
長生きの父母有り難し去年今年
牛丼屋の上のオフィス四日かな
上野葉月
静寂へ噛みつく如く歌留多会
春節の日差し上司の耳たぶに
岡田由季
獅子舞の最後は和解したらしく
片時雨集金しすぐ入金す
近恵
もう雪が重たい土に還りたい
後ろから数えて五番目がセーター
佐々木紺
ここに居てすみれ煮詰めて遠いふゆ
寒晴へうたふ子音のよく響く
しまいちろう
雪女ただ糊借りしだけの縁
凍鶴の立って眠るや修道尼
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