しまいちろう
夏立つや玩具のような膝小僧
坂上の文学館に吹流し
鳥山由貴子
水無月の小さな家の小さな椅子
くま薬局毒消売の末裔です
中内火星
男なんかもうだめよ亀すら鳴かん
なんとなくなめくじという命かな
矢羽野智津子
袋角一人相撲の果て静か
人間に尾の骨残る袋角
吉田悦花
鱗なきからだすべすべ更衣
薄皮を剥ぎたるサラミ立夏かな
岡田由季
ひとくちの試飲が効いて薄暑光
アマリリス退出時間五時五分
岸田祐子
ゆるやかな湿り気栗の花にほふ
ひろびろと海ひろびろと風ビール
楠本奇蹄
如雨露よりしろい躰のはじまりぬ
青葉騒こゑゆだねたき河畔かな
佐々木紺
テーブルをまはせば届く茶や立夏
声帯を出でてするする吹流
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