クロニクル    上原祥子
 
  青海亀の夢がつづるクロニクル  
  空白の面をつけてビル街走る
  いぬふぐりの貌造っている少年かな  
  田水沸く変換不能の気分です
  墨色に滲む暑さや山手線
  神経症の匂ひに夏至の扉しめる
  ぢぢばばのあの世を視る目で秋分
  第三のカギをあけている放生会
  傾いた船はしんじつ砂の城
  ひたいには印しのありて年の市




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