雲雀野へ    吉田悦花
 
  烏瓜ためいきふたつまで赦す
  にんげんに遠く朝露ひかりをり
  秋のカフェテラス胴長の犬集ふ
  狩宿や迷彩服の干されあり
  虚子とのみ墓石にあり冬ぬくし
  父の書斎凍蝶の時間あり
  ボクシンググローブ真つ赤鬼やらひ 
  空き腹のふたり白梅仰ぎをり
  雲雀野へひらく鏡のくらさかな
  引鶴のはちみついろの空のあり




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