反故  片岡秀樹
 
  初暦まず一日を反故にする
  帰る場所またひとつ捨て野火走る  
  さくら散るかすり傷だと言い聞かせ
  鯉幟家族は退屈な洞窟
  五月雨は滞空時間を否定する
  金網に囲まれプール開きかな
  墓洗うサンドバッグを叩くよう
  投函のため螢火の中を行く
  孑孑のさかんに空に触れたがり
  鶏頭の敵は鶏頭共に燃ゆ





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