どしゃぶりの女    小野裕三
 
  空耳が金閣寺にもありにけり
  魂を忘れるときが冬の石
  リンス・イン・シャンプー滞空時間の長かりし  
  メキシコ料理店のように大降り
  ペーパーバック海の匂いの信号機
  階段教室アナグラムのように蟻
  蛍が死んだらヘレン・ケラーのようだ
  ひまわりが無伴奏で咲いている
  交差点残しどしゃぶりの女去る
  卒業生寄贈の鏡鳥わたる





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