ぬるり 齋藤朝比古
 
  鎌倉や手毬をつけば火の色に 
  コロッケの泳ぐ大鍋春隣
  くれなゐの壁現るる雛納め
  山にゐて山を見てゐる暮春かな
  ちちははが金魚の部屋に座りゐし  
  ハンモック星に旋律生まれけり
  いなびかり森が大きくなつてゐる
  干柿の種のぬるりと出できたる
  人間を鍛ふる機械冬の月
  大年の額を広く父睡る





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