顔失せし神
片岡秀樹

冬の波寄せ来る時も尾を振らず
消火器が暗いところに鮟鱇鍋
キックオフ凍土の栓を引っこ抜き
水族館鱶見てしなやかな訣れ
選別を受くために書く斑雪
鎖付け飼われるものと鞦韆と
ナビゲートシートに甘藍積み自由
相談するよう階段のぼる良夜かな
告知後の置かれしままの秋扇
村辻に顔失せし神刈田光



【作句の風景】
かすり傷だと思っていたのに血が止まらない。奴はうまく逃げられたろうか。
サイレンが迫る闇の中。凍てつく星を見上げ、俺はいつの間にか口笛を吹いていた。
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