天幕
守谷茂泰

水仙を吹き消し線路工夫なり
ななかまど白紙めくったように駅
冬雲をこつんと置いたピアニスト
病室は葉脈のなか雨季来たる
ふきのとう日溜りというかすかな毒
蒲公英はアジアの天幕の匂い
海へ還るひろき額の向日葵たち
折れそうな西陽が標本箱のなか
雨の花火さびしき臓腑として見上ぐ
声帯をほどいてゆけば曼珠沙華



【作句の風景】
句を考えている時に頭に浮かぶ光景。家の近くの川原の家山川。
中学校の廊下や階段。大学時代に歩いた街角など。
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