浮輪の口
大石雄鬼

都鳥正座の足をして舞へり
博多人形裸になれず朧月
果物にみな臍のあり万愚節
ギターの穴浮かんでゐたり春の川
青水無月ヨーヨーが手に逃げてくる
源流にゐて夏シャツの筋目たつ
でで虫の体内を眼が走りたる
浮輪の口つきだしてゐる生家かな
夏風邪やひよつこりひようたん島に崖
木乃伊の手胸にとどかず雁渡る



【作句の風景】
私は何に心を動かされるのだろう。多分それは自分の内にあるはずだと、
破けたパジャマと、かぼそい腕と寝ぼけた眼で探している。
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